映画やドラマの感想です
★★★★☆ヒロシマナガサキ 2007
2013-03-06 Wed 22:00
監督:スティーヴン・オカザキ
収録時間:86分
レンタル開始日:2008-04-04

Story
漫画「はだしのゲン」との出会いをきっかけに、スティーヴン・オカザキ監督が25年の歳月をかけて完成させたドキュメンタリー映画。広島と長崎の14人の被爆者と、原爆投下に関与した4人のアメリカ人の証言を軸に構成。核兵器の脅威に強い警鐘を鳴らす。 (詳細はこちら

資料としての存在価値は高いですが、注意すべきことは、日系三世
によって作られたことです。

まず容易に想像できる点ではアメリカびいきの思想がちらつくこと
です。


一部の被爆者も昔の手術で渡米した方らしく、英語がネイティブ
レベルの人がいますし、アメリカを責めるような恨めしいような
視点はほとんど感じられません。

アメリカが戦後、25人の被爆者を招待して無償で手術を施したと
いうことですが、25人などという数字では当然焼け石に水な訳で
すが、無償で手を差し伸べたということが繰り返し強調され、
その対象になった方が感謝の念を述べています。


また数人は熱心なカトリック信者だったらしく、自殺せずにいれた
のはキリスト教のおかげだったとこの映画の根底にキリスト教の
布教意図がわずかにあるのでは?と思わせます。

また、日本軍を狂信者のようにうたい、日本の目的が、天皇による
世界征服にあったと、これまた随分ずれた狂った国民性をアピール
します。

一時、そういう思想を軍部が掲げたかもしれませんが、中国との
付き合いも長い、日本国民が、世界征服を根底から信じてなんて
ことがあるわけもなく、戦時教育で信じてこまされていたという
映像と上手くつなぎ合わされて、狂気の国民だったとイメージ
付けられています。


また、朝鮮人被爆者についても日本に米を奪われやむなく来たと
非常に恣意的な映像がいきなり放り込まれています。

要するに、アメリカは原爆を使うしかなかったというイメージを
意図されて作られている節がかなり見受けられます。


原子爆弾を落とした、クルーが胸を張って、同情も後悔もないと
言っていたのが胸に残ります。

一瞬にして14万人を焼き殺し、以後も主因として16万人を殺した
クルーが同情も後悔も無く、悪夢も見たことがないというのですか
ら。(広島だけで長崎は爆撃時7万人)

このような流れですから、日本の降伏宣言で華やかなパレードに
沸く風景が当然のことのように映ります。


爆撃直後はぴんぴんしていた人がその後、一週間のた打ち回って
死んだそうです。

生き残った人も、子供を作ることは一生許されず、就職は非常に
困難を極め、白血病やその他特有の病気に苦しみ続けるわけです。


驚くべきことに、そういったいわゆる放射能による被害はほとんど
想定されていなくて、まさに広島長崎で人体実験されたのです。

もはや本土には爆撃し放題の状況でどこにそこまで凶悪な兵器を
使ってまで早く戦争を終わらせる必要性があったのでしょうか?

その後の領土獲得合戦のためでしかなかったと思うのですが。


とアメリカ視点が強く感じられるこのドキュメンタリーですが、
皮肉にも日本では見られない(見たことがない)映像も多々見ら
れます。

爆撃にあたった大尉と被爆者が対面する番組が流れますが、沈痛な
被爆者に対して、ただ能天気に戦争を早く終わらせてやった、無償
で治療もしてやってると浮かれている司会者が見ていて悲しい
です。

その場では「なんてことをしてしまったと思う」と言っていた大尉
も心なしか本意には見えませんでした。


日本では25年にわたり、原爆に関する資料の公開はアメリカにより
禁止され、資料はかなり没収されたようです。

きれいな役者さんではなく、体中に傷がはっきり残る人の口から
聞かされる、経験談は想像を越えたものでした。

残念ながら、たくさんの資料はアメリカで眠ったまま葬り去られる
わけです。

それこそが戦争なのかなと言う気もしますが。

それでも、唖然とするような悲惨な映像は多々あり資料としての
価値は非常に高いと思います。
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